全国大学院特集

国士舘大学大学院
私立(共学)東京 コクシカンダイガクダイガクイン

WEB講義◎著作権法(知的財産法)を学ぶ意義

進化し続けるデジタル時代にあって
著作者と利用者の権利をどのように調整すべきか。
著作権をめぐる現代的問題を多面から検討する

国士舘大学大学院
総合知的財産法学研究科
●三浦 正広 研究科長・教授
(みうら まさひろ:プロフィール)
青山学院大学大学院法学研究科博士後期課程満了退学。青山学院大学法学部助手、岡山商科大学法学部教授などを経て現職。専門分野は著作権法、著作者契約法、著作者人格権、肖像権。主な論文に、『著作者契約法の理論-契約法理論による著作者の保護-』『著作権譲渡契約の法的構成論-著作者契約法理論による再構成-』。

情報技術などの進歩により
頻繁に改正されてきた著作権法

 日本の著作権制度は、1899年に制定された旧著作権法に始まるが、これは著作権の国際保護条約のベルヌ条約(1886年)に加盟するために準備されたものであった。この旧法は、その後、数度、部分改正されたものの、第二次世界大戦後、機械技術の急速な進歩に合わせて著作物の利用方法が著しく変化したため、部分改正では対応できなくなり、1970年に抜本的な見直しが行われた。
 しかし、改正された著作権法も情報化の発展にともない頻繁に修正され、今日に至っている。例えば、コンピューター・プログラムが著作物として保護されるようになったのは、1985年のことである。

価値の対象がモノから知財に変化
総合的な観点から学ぶことが大切に

 著作権法が定める著作物とは、思想または感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するものをさす。著作権は「著作者人格権」と「著作財産権」から構成され、このうち「著作者人格権」が著作権の伝統領域で、作品は作者と親子のようにつながりが深いことから著作権法は人格権を保護してきた。
 人格権には、公表権、氏名表示権、同一性保持権があり、同一性保持権とは著作物の題名と内容を著作者の意に反して改変することができない権利を意味する。
 しかし、デジタル時代にあって、著作物を加工・改変することが容易になり、人格権をいかに保護していくべきかが大きな課題になっている。その一方、著作物の利用拡大やネット上での流通促進を促すという観点からは同一性保持権が障害となるため、これを制限すべきだとする議論も盛んに行われてきた。
 著作権法は文化の発展に寄与する目的から、「著作物等に関する権利者保護」と「著作物等の利用者保護」という二面性を備えている。権利者と利用者の双方の権利を保護しているため、権利の独占と自由な利用をどのように調整してバランスをとるかが難しい問題になる。
 価値の対象が「モノ」から「知的財産」に変わった現代において、知的財産関連のビジネスが拡大している。それを加速化させているのは、インターネットと情報技術の進化に他ならない。そのため企業が求める知的財産のエキスパートとして活躍するためには、法学分野だけではなく経営学や工学に関する知識も求められる。ビジネスとしてどのように成功させるか、どのような技術を用いて知的財産を利用するかなど、総合的な観点から著作権法を学ぶことが大切だと言える。

国士舘大学大学院 総合知的財産法学研究科 カリキュラムマップ

 総合知的財産法学研究科では、知的財産に関して法律学をベースとする専門的思考力と知識の修得を目的として、基幹科目、特別科目、発展科目からカリキュラムを構成している。特に、特別科目で、経営と技術について学べるのが特色になっている。また、実践力を養えるように、知財実務研修(エクスターンシップ)制度も整えている。

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