全国大学院特集

国士舘大学大学院
私立(共学)東京 コクシカンダイガクダイガクイン

在学生メッセージ◎救急システム研究科

救急救命士としての専門性を高めるために入学。
「救急隊と傷病者の性別による影響」について研究中です。

国士舘大学大学院
救急システム研究科
救急救命システム専攻(1年コース) 1年(取材時)
●樺沢 亮(かばさわ りょう)さん

医学知識や理論を学び
経験則を裏付けたかった

樺沢亮さんは、国士舘大学体育学部スポーツ医科学科を卒業後、埼玉県の消防に入職。救急救命士として救急業務に従事している。救急救命士は、急病人やけが人を医療機関に搬送するまでの間、救急救命処置を施す病院前救護を担う国家資格だ。傷病者の生命が危険な状態にあれば、医師の指示を受けながら輸液や気道確保といった特定行為を行うこともある。
「実務経験を積むなかで、まだ学びが足りていない自分に気づくことが多くなりました。例えば、医学知識が不足しているため、慣例的に行われてきた救急処置の経験則だけで本当に正しいのだろうかと疑問が生じます。また、救急救命士が行う特定行為は高度化しているため、理論面の知識を補いたいという思いがつのってきました」
そんな折、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが発生した。正しい知識や情報が少ない当初から、救急隊は感染の可能性がある傷病者への対応に苦慮していたことから、ますます学術的な知見の必要性を実感した。
「セミナーのインストラクターなどを務めた際に国士舘大学の先生方と接する機会が多く、卒業生全体にリモート抄読会へ参加のお誘いがあり、当たり前のように論文を読み、疑問があれば質問する光景に新鮮な驚きがありました。
国士舘大学は救急救命士養成のトップランナーであること、救急システム研究科には1年制の修士課程が設置され、社会人に門戸が開かれていることから、母校で指導を受けることを決めました。また、学び続けることができるか不安だったので、大学院の授業を科目等履修生として体験することにし、その上で自信をもって入学することにしました」

大学院で学んだことを
職場に即した形で取り入れたい

救急隊の業務は救急搬送だけでなく、市民のための救急講習、イベント対応、病院実習や研修会などがあり、多忙を極める。それでも受講できているのは、リモートやオンデマンド形式の授業が多いからだ。これらの授業をうまく利用しながら、救急隊と傷病者の性別による影響をテーマに修士論文の作成に取り組んでいる。
「例えば、公衆浴場で女性の傷病者が発生した場合、男性の救急隊員は現場にすぐに立ち入ることができず、処置が遅れる場合があります。また、傷病者が女性の場合、AED(自動体外式除細動器)の胸部への装着や心臓マッサージの実施には配慮が必要です。わずか1秒の判断の遅れが救命率を左右するため、研究を通じて性別による問題解決の糸口を探りたいと思っています」
大学院で共に学ぶ学生の多くは、救急救命士の有資格者か救急医療に従事する社会人だ。そのため共通の体験や問題意識が参考になるほか、年齢や勤務地の違いによる多様な意見や考えに触れられることが、良い刺激になっていると話す。
「大学院では自分の経験が授業と結び付いているため、仕事を通じて生まれた疑問の解決策を主体的に考えることに充実感があります。学び得たものを職場に即した形で取り入れたり、後輩の指導に生かしたりすることで、結果として社会の一助になればと考えています」
病院前救急医療の高度化を、樺沢さんのような大学院での学びが支えている。

私が注目している講義科目や研究テーマ

●「国際救急医療体制演習」
救急システムや救急救命士養成教育などについて、国際的な視点から比較・分析します。日本が救急救命士制度を創設する際にお手本にしたのがアメリカのパラメディック制度ですが、この授業にはアメリカでの実地研修の機会もあり、自らの目で相違点を理解できることは貴重な体験になると思っています。
●「人体機能構造学特論」
解剖は医学の入口ですが、多くの医療従事者が苦手意識を持っています。学部時代は暗記するだけの解剖学でしたが、川岸先生の授業は考える解剖学です。全てになぜがあり、暗記ではなく、常に考えを持って意見を言う。現場に出ている人なら受けるべき授業です。

救急システム研究科の概要

救急システム研究科は、医師や看護師、救急救命士といった病院前救急医療に携わる国家資格有資格者に対する高度な教育と研究を行うことを主眼としています。現在の病院前救急医療体制における多種多様な事象を研究対象とし、各自の興味・関心に沿って研究を行うことができます。日本のみならず、世界各国・地域が抱える病院前救急医療に関する諸問題をシステム的にとらえ、それを解決できる専門能力と豊かな学識を有する高度専門職業人の育成を目指しています。

●開設している課程・コース
・救急救命システム専攻 修士課程(2年制)  昼間、夜間/土曜日開講
救急救命システム専攻においては、将来救急救命士の指導者たる教員の育成を第一の目的としています。全国の救急救命士養成施設が増えつつある現在、その指導者の育成は急務です。ついで、病院内における救急救命士の利活用が進む現在。救急の現場から病院内までの搬送や、一貫した処置を実現し、病院内での診断と治療の内容を理解し、従来の消防機関の属する救急救命士を超える高い臨床処置実践能力を習得いたします。またこれらの病院内外の救急救命士を指導する能力を有する救急救命士の育成を行います。
さらに高度化される救急救命士の救急救命処置を指導できるような医学知識を学び、コミュニケーションなど患者への実践対応力を身につけるとともに、根拠に基づいた医療(EBM)の実践と統計学的分析力、病院前救急医療分野の研究や国内外への学会発表などのプレゼンテーション能力、海外での比較研究、さらには臨床指導能力の育成をもって、病院前救急医療分野の質向上に寄与できる人材を育成します。救急救命士のスキルアップにつながっています。

・救急救命システム専攻 修士課程(1年コース)
救急救命システム専攻(1年コース)においては、主に国家医療資格を有し、現場で5年以上の臨床経験を有する人材を対象とし、教育の目的は、病院前において高い臨床実践能力の養成と研究・教育の場で、救急救命士を指導しうる人材の育成を目指しています。
現在、病院前救急医療の学問体系(救急救命学)の確立を目指して、外傷や災害などを中心としてプレホスピタルケアの充実に必要な臨地研修ならびにシミュレーショントレーニングが行われていますが、本専攻では、さらにこれを学問体系化し高度化される救急救命士の特定行為の指導や高度医療を実践するために必要な医学知識を学び、コミュニケーションなど患者への実践対応力を身につけることと共に、病院前救急医療分野の研究を通じて根拠に基づいた医療(EBM)の実践と統計学的分析力、国内への学会発表などのプレゼンテーション能力の育成を行います。

・救急救命システム専攻 博士後期課程  昼間、夜間/土曜日開講
博士課程の目的は、人々の安全と安心、健康な生活を支えるために防災や救急・救護などの病院前救急医療の質の向上にむけて人づくり・救急医療システム構築を促進できる、専門性の高い、自立した病院前救急医学の研究者を養成することです。

●社会人の受け入れ(社会人選抜)
社会人選考を設け、社会人を積極的に受け入れています。大学等を卒業後満3年以上経過している方、あるいは満28歳以上の方で、大学を卒業した方と同等の学力があると本学が認めた方を対象にしています。

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