「なりたい」がかなう大学・短大特集

医学・歯学・薬学分野ガイド

患者と接するのにふさわしい人格と、強い使命感が必要。患者主体の医療を進められる臨床力も養っておきたい

医療分野では、脳死、臓器移植、終末期医療のあり方に関連して、患者を一人の人間としてどう扱うか、どう接するかという問題が浮上している。医学の目的は「生命を救うこと」にあるが、近年は医学の進歩がめざましく、また予防法も進化したため、その目的が「生活の質を高めること」にまで広がり、医療従事者にも幅広い視野が求められている。
そこで、医学教育は「全人的医療が行える医師」の育成を掲げ、医学科は6年制課程のもと、実習に特に力を入れている。5・6年次には、臨床実習が中心になり、実習先の病院で、患者の病状経過を観察したり、助手として治療方針などを考え、実践力を高めていく。これから医学を学ぶ人には、人間の尊厳を深く理解し、患者と接するにふさわしい人格と、社会に貢献しようとする使命感がより強く求められていると言える。
「歯学」は、口腔(口の中からのどまでの空間)の疾患を取り除き、機能を回復させることと、疾患の予防を目的とする研究分野。研究領域は、矯正、虫歯や歯周病の予防歯科学、口腔に関する解剖学、生理学、病理学、細菌学など広く、欠けた歯を補う分野の研究も進んでいる。
高齢社会に対応して虫歯の予防と保健意識を高める活動も、歯科医師の大切な仕事になっているほか、歯の噛み合わせが全身の機能や健康に大きく影響していることが明らかになり、年齢にかかわらず、歯の矯正に対する意識が高まり、歯科医師への期待も高まっている。健康な口腔は、人が自由に食べることや話すことの土台なだけに、歯科医師は、患者のクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)の向上に深くかかわっていると言える。
「薬学」は、薬剤師の養成(6年制)と、研究者の養成という二つの目的を持ち、研究分野は主に、新薬の開発や効率的な生産方法を研究する「製薬学系」、薬の病気に対する作用を明らかにし、薬の効果的で副作用のない使用法を研究する「医療薬学系」、医薬品や食品添加物の特性を調べ、人体への影響を明らかにする「衛生薬学系」、微生物などの生物をワクチンなどに利用するための研究を行う「生物薬学系」の4系統に分けられる。がんや心臓疾患などによる死亡率は依然として高く、新しい病気も発生しているだけに、これらに対する治療薬の開発や副作用、製造法などの研究が、薬剤師に課された大きな課題であり、薬剤師のやりがいとも言える。また、薬剤師による病棟活動や地域活動といった、服薬指導や患者の見守りなどの臨床活動にも大きな期待が寄せされている。

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